毒親との関わり方

クローズアップ現代+親を捨ててもいいですか?毒親育ちの感想とまとめ

投稿日:2021年5月7日 更新日:

こんにちは。毒親育ち の ぺーたー(@datudokuoya)です。

親を捨てたい。そう思ったことがありませんか? 私は毒親育ちであれば、ほとんどの方が一度はそう思うのではないでしょうか。

 

普通の家庭で育った方には理解できない感情だと思いますが、この言葉の裏には複雑な事情があるのです。

 

子どもの頃に親から受けた束縛や虐待があると、その親の介護や同居を迫られたとき、再びその事実に向き合わざるを得なくなります。


これは毒親育ちにとって非常に悩ましい問題と言えます。

 

この番組ではそんな悩みを抱える方の話が放送されていたので、情報をまとめておきます。

 

毒親を捨てられず苦しんでいる女性

毒親 恐怖

 

1人目は白川さん(40代女性) 

母親への複雑な感情を、漫画に描いて吐露している方。

 

去年母親が難病を患い入院したため、病院に身の回りの物を運ぶなどの世話をする機会が増えました。

 

「母は怒鳴るし、言っていることはむちゃくちゃ。ツッコめば逆切れする。あと手が出ます」

 

母親は昔から「かんしゃく持ち」だったそうで、期待に応えないと手をあげられたと言います。

 

しかし白川さんは口答えせず、理想の娘を演じてきました。

 

「物心がついたときからそうなっているので、なかなかそれは変えられない。いまだに親に逆らうことは怖い」

 

結婚後は母親と距離をとっていましたが、去年の入院以来、再び関係が急接近。気づけば子どもの頃のように感情を押し殺し、理想の娘を演じてしまっていたそうです。

 

怖いのに逃げたいのになぜか近くにいる。

 

「“そんなの逃げればいいじゃん”、“やりたいことやればいいじゃん”って言うけど、それができない精神状態なんです」

 

世間的にはいい親なので、そんな人を自分は捨てちゃうのかという罪悪感がある。その罪悪感は、一生とれないのではないかと思うほど根深い。

 

友人との会話でも、口をつくのは母親への悩みばかり。

 

友人「実家に行かなきゃいいのにって思うけどね」

白川さん「行かざるを得ないんだって」

 

「そこなんだよね。実家に行かなくても死なないよ」

 

「問題はないんだけど、自分がこんなになっちゃって娘は顔も出さないっていう体裁が悪いでしょう?」

 

「たぶん、人の目がすごく気になるんだよね。“子孝行してなくても親孝行はしなさい”なんていう世の中の風潮だから、親から大事にされなかった子は困るよね。大事にしかたがわからない。教えてもらってないんだから。“親孝行しなさい。それが正しい”なんていうのがなくなれば、もっと楽なのかなって思う」

 

毒親が大嫌いだという気持ちを認めてみよう!

 

子どもの頃、毒親からの虐待に苦しんだ男性

両親 虐待

 

2人目の高橋さん(50代)は親との関係を断ち切れず、長年苦しみ続けています。

 

10年ほど前に父親が心不全で他界し、それ以来、認知症の母親の介護を担ってきました。

 

両親の虐待が悪化したのは小学5年生の頃。

もともと気性が荒かった父親が難聴を患い、暴力が悪化したと言います。

 

「聞こえないと言って殴った。拳で頭をガンガン。いまだに人が後ろにいると、殴ってくるんじゃないかっていう恐怖がある。母親は言葉と恫喝というか、専業主婦でもともとお嬢様育ちだったので、母親のほうがきつかったですね、ある意味。ほんとに56してやりたいと思いました。両親とも。そういう感情はありました」

 

実家を出てからは極力関わらないようにして来たという高橋さん。

 

しかし、父の他界を機に、一人っ子の高橋さんは仕事をやめ、認知症の母親と向き合わざるを得なくなりました。

 

「面倒見てやっているのに怒り出す。そればっかりでした。

 

憎まれ口をいっぱいたたきますので。昔の恫喝がよみがえってきて、自分も潰れるなと思いました」

 

虐待をきかっけに長年患っている「うつ病」も悪化。現在も通院中とのこと。

 

Q「親との関係を断つのはできないですか?」

 

「それは捨てたいですよ。ただ、それじゃ無責任じゃないですか。ゴミだって分別しないと捨てられないじゃないですか。どんなに嫌いでも、あとから後悔はすると思いますね。捨てたら何かしら罪悪感が出て……」

 

現在その母親は、5年にわたる在宅介護を経て施設で生活している。

 

高橋さんは母親のことを気にかけておられるようでした。

 

毒親との絶縁を介護不要なうちにすべき理由

 

毒親を捨てることに関する臨床心理士の信田さよ子さんの意見

毒親の対応 臨床心理士

 

スタジオには日本臨床心理士会の理事である、信田さよ子さんがいらっしゃいました。

 

なぜ親と離れられないのか

 

①「親とうまくやることが大人になることだ」みたいな考えが背景にあるため、親から離れるのが大変難しい

 

②親のことを好きだからではなく、(捨てることが)人間としてどうなのかと考えるから離れられなくなる

 

親と離れるための対策や解決策

毒親と離れる方法

「親との関係に悩む方は、例外なく「こんな変なことを考えるのは自分一人じゃないか」と思っている。だから、日本中に同じような人がたくさんいるってわかるだけで気が楽になります。あとは、親の介護だったらケアマネジャー、介護の方、カウンセラーなど、第三者の専門職の人に相談するのが良いと思います」

 

親との関係がうまくいかない人が増えている理由は?

 

1990年代の半ばにアダルトチルドレン(AC)という言葉が多く人に共有され、子どもの虐待が表面化してきたそうです。

 

※アダルトチルドレン

親子問題などを抱えた家庭で育ち、大人になっても生きづらさを感じている人

 

「自分が生きづらいのは親との関係に由来する」と認めた人が、ACと自己定義する。この考え方は日本初のことだったそうです。

 

信田先生

「この頃に、親との関係で生きづらかったと言っていた人たちが、いま親の介護をする世代になっています。だから親を捨てたいということの背景になっているのではないか」

 

「親を大切にすべきとか、葬儀に出たらそれで仲良くなれるでしょ、許せるでしょっていう常識が、とってもその人を苦しめる。だから(葬式に)出ないって人が多いですね」

 

毒親育ちの場合、葬儀に出たくないのは当然の感情といえますね。

 

親の死後どういう影響があるか

毒親 死後

 

親が亡くなったらすべて終わるわけではありません。

 

その親のことを許すかどうかと、親に何をされてきたかどうかは別の問題です。と、信田先生は言います。

 

「自分の記憶の中にある親からされたことは、そんなに消えないんですよ。なかなか。だから親となんとかうまくやっていくってことと、親からされた記憶が整理できないってのが両立しちゃうんです」

 

アナ「必ずしも許すって感情にはならないってことですか?」

 

「そうですね。許さなくてもいい。表面上うまくやってればいいだけの話ですから。戦争が終わってもトラウマが消えないように、親が死んだときも同じです」

 

こうもハッキリと許さなくていいと言われると、気が楽になりますよね。私も同感です。

 

毒親を許さないほうが楽に生きられる

 

毒親の介護をきっかけに親子関係に変化があった女性

毒親 仲直り

 

3人目は、母親との関係がうまくいくようになった娘さんの例が紹介されました。

 

母親の認知症が進み、2年前から同居をしている理恵子さん(55歳)。

 

小学生のときに父親が借金を残し、家庭を放棄。苦しい生活の中で、母親から暴力を受けてきました。

 

「母はイライラすると眉間にしわを寄せ、よく殴られました。だから早く生活能力を身につけて家を出て、家族の縁を切りたいと思っていました」

 

自立してからは家に近寄らなかったそうですが、母の介護をするために同居することになりました。

 

介護をはじめた当初は互いに怒りをぶつけあっていましたが、同居2ヶ月経ったときに不思議なことが起こったのです。

 

突然母親が、真夜中に通帳と印鑑を手渡し「これであとは全部お任せしていいのね」って言ってきました。そのとき、母親はどこかホッとした表情を浮かべていたそうです。

 

その様子を見て、「不安だったんだなって気づかせてもらった。不安でイライラしていたんだなっていう。

 

母親は母親で、借金をくりかえしていく夫に対し、借金を返さなきゃいけないし、積み上げた財産は全部なくなっていくし、それはそれでつらかったんだなと感じられるようになってきた。

 

そうならざるを得ない人生背景もあったんだなとわかってきて、それから少しずつ関わりが変わってきた」

 

その後、だんだん母親の笑顔が見られるようになり、「かわいい母親」に変わっていったそうです。

 

インタビュアー「昔の理恵子さんのことは覚えています?」

 

母親「昔?おぼえてないね。いろんなことがありすぎて。もう忘れることが良いことだと思ってます

 

笑顔で答える母親を前に、娘の理恵子さんは

 

「過去を忘れることはできない。いまだ葛藤を抱えつつも、母への憎しみが減りつつある」と言っていました。

毒親 憎しみ

 

この映像を見た臨床心理士の信田さんは

「いまの言葉は、とても含みが多いと思いますね。あのお母さんすべて忘れているわけですから。母を許すってことと、過去にされたことを忘れるってことは全然別の問題なんですよね。ですから、忘れられないけれど、まぁ目の前にいるお母さんとなんとかうまくやるということは、この方のすごい努力だし、まぁそれはできると思います」

 

「許していい関係になることがゴールではなくて、いま一緒に暮らしていて、お母さんもこれで見送れて、最後の2年はなんとか平和に暮らせたなって思い出を作ることが、この方にとって重要。それは決して許したってことではないと思う」

 

「虐待後」を生きる.クローズアップ現代の感想

 

その一歩には、どのような意味があるのか

 

  • 世間の常識から言えばよい子どもをやったと皆が認めてくれる
  • 子どもがいれば、自分は親といろいろあったが、最後は穏やかに暮らした、介護をしたと示すことができる

 

「だから、いろんな意味でいいことではある。ただ、彼女が許しているかはわからないし、許すべきだとは私は思わない」

 

本当に歯に衣着せずズバッと言ってくれる先生ですね。

 

【実体験】毒親が亡くなったときに毒親育ちが感じたことから学べること

 

母と娘の問題について

毒親と娘の関係

 

こういった親子関係は「母と娘」に多くみられています。これは2008年くらいから、すごく大きな問題として浮上してきたそうです。

 

その背景には、父親の問題と隣り合わせ(裏表)の関係。家族の中で父が機能してこなかったことが挙げられます。

 

信田先生

「家族の中で父がほとんど機能してこなかった。うちのことは妻に任せておけばいい。家族の中で父がやるべきことをやり、責任を取り、ちゃんと自分の母が娘に過干渉しないように母を支えなきゃいけない。こういうことが問われる時代になったんだと思う」

 

アナ

「この問題は、社会の中で相変わらず男性と女性の格差の問題があるってこととも無関係ではなく、男性優位だった社会のしわ寄せがきているのでしょうか?」

 

「社会のしわ寄せは、家族に行くんです。家族のしわ寄せは女性に行く。妻は母となって子どもにしわ寄せをする。順送りの抑圧が、一番その家族の中で弱い立場の娘にあらわれるということが、母と娘問題の背景にあると思う」

 

毒親が毒親である理由とアダルトチルドレンができあがる理由  

 

親を捨ててもいいとカウンセラーが言う理由

親を捨ててもいい

 

「聞く人が聞いたら不愉快でしょうけど、私は親を捨てたいと言わなきゃいけないところまで追い詰められている人のことを思うと、心が痛む。だから私がカウンセラーとしてそういうことを聞いたら、“いいんじゃないですか。親に対してNOと言ってもOKですよ”と言ってあげたい。誰も“親を捨てていいですよ”なんて言ってくれないので、カウンセラーくらいは言ってあげてもいいんじゃないかって思いますね」

 

「変な言い方ですけど、親を捨てたいと言われたり、自分でも捨ててもいいんじゃないかと思うと、捨てないことが多いんです。だから親を捨てないためには、周りが親なんか捨ててもいいよっていう雰囲気をつくればいいんじゃないかと思ったりします」

 

信田先生が大胆な発言をした直後に番組が終了しました。


毒親に悩む方に読んでほしいオススメ記事をまとめました!

 

クローズアップ現代プラス 親を捨ててもいいですか? 感想

 

毒親育ちの私としては、とても共感するところが多い内容でした。

 

また、臨床心理士の信田先生が毒親育ちの苦しみを理解されていたことが印象的でした。

 

さすがに毒親に関する著書を多数出版されているだけありますね。

 

特に「親を許さなくていい」・「親を捨ててもいいと思う」といった発言が、強烈に印象に残っています。これに関しては以前記事にも書いた通り、私も同意見です。

 

毒親を許さないほうが楽に生きられる

毒親を捨てる方法と扶養義務を無視して良い理由を解説!

 

私自身、毒親とは絶縁していますし、葬儀にも出るつもりはありません。

その考えが世間的には理解されないことも承知しています。

 

しかし、こういった番組の効果で世間の方に少しでも理解してもらえるようになればいいなと思いました。

 

介護から葬儀、納骨までの手続きを代行するサービスもあるので、こういったものを利用することで負担を減らしていけるといいですね。

 

※番組で紹介されていた業者 LMN 遠藤英樹氏

 https://www.support-lmn.com/

 

クローズアップ現代+親を捨ててもいいですか? 虐待・束縛をこえて 2021年5月6日放送

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